空からのメッセージ〜最愛のキミへ〜
海
翔くんが連れて来てくれた場所。
それは…視界に入りきらないほどの広い海だった。
「綺麗……!」
海の青と、夕焼け空の赤がそこには広がっていた。
海に夕焼けの赤が写っていて、キラキラとしながら静かに波を打っている。
季節外れのせいか人通りはなく、翔くんと私の2人きりだ。
「…ここ、景色がすごく綺麗なので先輩に見せたかったんです」
「本当に…綺麗だね」
「悩んでいる時とか、気分転換したい時によく来るんです。 いつもは1人で来る、とっておきの場所なんですけど、どうしても先輩に見せたくて…」
翔くんは少し表情を曇らせた。
まるで、何かつらい記憶を思い出しているかのように…。
「そんな大切な場所なのに私なんかに教えちゃっていいの?」
「大切だからこそ、先輩に見て欲しかったんです」
「私は…特別ってこと?」
「はいっ! 先輩は俺がこの世で一番大好きで、大切な人です」
翔くんはそう言うと、私をそっと優しく抱き締めた。
まるで、宝物を包み込むかのように…。