空からのメッセージ〜最愛のキミへ〜


「……ん?」

「あの……。 お、お誕生日おめでとうございますっ!」

「ありがと」

「えと…少しの間、目を閉じていてくれませんか?」
「うん、分かった」


私は目を閉じた。

ザザーン、ザザーンと波を打つ音が聞こえる。


翔くんが傍に来る気配がするのとほぼ同時に、冷たい何かが私に触れた。


「もういいですよ」

翔くんの声で私は目を開けると、首に何かがかかっていた。

それは、ラインストーンとピンク色のハートでできたネックレスだった。


「これ……」


「誕生日プレゼントです。 良かったです、今日の先輩の服装と似合っているので」

「すごく嬉しい。 ありがとう、大切にするね! 」
「喜んでもらえて良かっ……ゲホッ ゲホッ」

「翔くん、大丈夫!?」

「へ…平気です。大したことないので」

「風邪かな…。 あっ!今日寒いのに私が待たせたりしたから…」

「いえ、それは関係無いと思います。 俺、その…喘息持ちなんで……ゲホッ」
「そうなの…?」

「はい。…ゲホッ いつもの事なので…気にしないでください」

「とにかく、今日はもう帰ろ? 喘息って悪化したら大変なんでしょ?」

「すみません…。せっかくの誕生日なのに」

「ううん。 それよりも翔くんの方が大切だから…」
「先輩…」


そう言った瞬間、私は翔くんに抱きしめられていた。

「先輩っ……」


抱きしめている腕の力は強いのに、なぜか弱々しい気がした。

少し手が震えてる……?


私は翔くんを抱きしめ返した。


『大丈夫、私がいるよ』


そんな意味を込めて。


翔くんは息苦しいくらいに強く抱き締めた。


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