空からのメッセージ〜最愛のキミへ〜
「…先輩には敵いませんね」
と、言いながら翔くんは笑った。
いつもの優しい笑顔。
私の好きな、翔くん。
「あ、先輩見てください!」
少し先にある絵の前で翔くんがその絵に指をさした。
「これ…」
それは、鮮やかな色で描かれた空の絵だった。
「前に行った海に似てますね」
「ほんの少し前の事なのに、懐かしいね」
そう、あの海に行ったのはつい数ヵ月前の事なのだ。
あのとき見た景色によく似た夕暮れの海。
懐かしさと同時に、あの絵を思い出した。
前に自分で書いた、空と海の絵。
実は、あの絵以来描いてないのだ。
…正確には"描けなくなった"のだ。