気合いの華
そのまま長い事睨みあいが続いた。

「噂の川畑も、女にゃ手出ししねぇんだ?」

「マジで殴るぞ?」

「殴られた女なら腐る程いるみてぇだがな?」

その女子は笑いながらミッキーを小馬鹿にした。

バゴォン!!


「…」

「てめぇ名前は?」

ミッキーは女子の顔の真横にある壁を殴っていた。

「江夏 香。」

「赤髪の女…覚えとくぜ?」

そのままミッキーは腕を離して江夏さんを解放した。

「川畑、アンタに頼みがあんだよ?」

「あ?んだよ!!」

「これ以上アタシの前で暴れんなよ?」

それを聞いたミッキーはまた咄嗟に胸ぐらを掴んでいた。

「てめぇ何言ってんだ?」

「その代わり女子にはアタシから言っとく。アンタに殴られた恨みは忘れろって…」

「んなもん聞く訳ゃねぇだろ!!」

「金はないけど、可愛い後輩の眼をやったヤツの情報源ならあるよ?」

「て、てめぇ何でそれを?」

「相手はヤクザなんかじゃないよ…アタシの入ってる族のOBだよ?」

「てめぇんトコの…族のOB?」

「先輩の名前売んのはアタシも好きじゃないけど、これ以上アンタは見てらんないよ?」

ミッキーは胸ぐらを掴んでいた手を再び解いて、耳元で囁いた。

「俺が暴れねぇんだから、お前こそ俺の前で調子乗ったりすんなよ?」

「わかったよ…」

呆れながら江夏さんは長い赤髪をかきあげた。
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