気合いの華
俺は狭川先輩にタバコとライターを渡された。

とりあえず火をつけようと思ってタバコを火で炙ってみたが、中々つかない…

「カズキ、火ぃつける時はちょっと吸うんだ!」

ミッキー?さっき吸わなくていいって…

仕方なく俺は加えて息を吸いながら火をつけて煙をすぐに吐いた。

「にっが!!」

「煙だから肺に入れないと美味くないだろ?」

多分肺に入れても美味くないだろうと思った。

「俺は…もう準備いいよ?」

「まぁ待てって!焦んなよ?」

「カズキ!焦れよ!?放火は逮捕なんだって!」

それは嫌だけど、ミッキーとの1ヶ月で学んだ事は…気合い入れる事だから!!

「そん時はそん時だよ?」

「それでこそカズキだ♪」

「カズキ!俺はもう知らねぇぞ!?」

ルイはそう言ってその場を去った。

「あいつ、本当にカズキのダチかよ?」

「は、はは…」

ルイは素直なんだよね。

「仕方ねぇ。一緒にいたら同罪だもんな?」

そう呟いて松戸くんはタバコに火をつけた。

「チッ!バカばっかだぜ♪」

狭川先輩も俺からライターを返して貰ってタバコを吸い始めた。

「んじゃ、火ぃついたか?…いくぞ!!」


ミッキーの合図で俺達4人はガソリンの撒かれた所にタバコを投げた。

みるみる内に引火していくそれは、とても見事に燃え上がり、夏の始まりを告げるかの様な大きな大の文字だった。

消すのが勿体ないと、燃え尽きるまで見守る俺達だったが、消火器は屋上に置きっぱになっていたからどっちにしろ、儚く見守った。
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