気合いの華
「…くん!カズキくん!カズキくん!」

「ん?」

俺の横で中川さんがずっと俺を呼ぶ。

「良かったぁ…大丈夫?」

「えっと…」

確かスパーが終わって俺も倒れて…
あれ?そのまま気絶したんだっけ?

「俺の心配なんかしやがって!本当いっちょまえになったもんだ♪」

あれ?谷尾さん?

俺はリングではなくベンチに寝ている状態となっていた。

「中川さん…」

「ん?何!?」

「手…痛いかな…」

俺は中川さんに左手を強く握られていた。

「あ、ごめん!」

離そうとした手を握り返した。

「優しく…握ってて?」

「う、うん…」

「ご、ゴッホン!」

その時、谷尾さんが大きな咳払いをした。

「あ!」

俺は谷尾さんの方を見た。

「そんな体力がまだ残ってたか!関心関心♪」

「は、はは…ごめんね、中川さん?もう、大丈夫だから?」

「うん…」

俺はきっと顔が赤くなってたんだろうなぁ…
なんて恥ずかしい事しちゃったんだろ…

「谷尾さん、またこれからもあのスパーお願いしますよ!」

「もちろん!今の若いのは闘争心があってたいしたもんだよ♪」

「今…何時っすか?」

「もう3時回ったぞ?」

3時?

あれから3、4時間寝てたのか…


「よっ…と!」

俺は上半身を起こして中川さんの方を見た。

「飯食いに行こう♪」
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