気合いの華
少し距離のある所で相手は止まった。

「…動けないんやろ?」

「試しにかかって来たら?」

俺は平気を装って言い返した。

俺はキックをやりにきたんじゃない…喧嘩しにきたんだ…

こんなに楽しい喧嘩、そうは出来ないし、絶対負けたくないよ!

だが俺は激しい痛みで、次の衝突で決めなきゃマズイ事を悟っていた。

相手がジリジリと近付いてくる…
少し表情に余裕が出来てる様に見える。

「ふっ!」

今までの苦労がフラッシュバックしてきて、それを俺は鼻で笑った。

「なんや?この期に及んで余裕ぶっても無駄やろ?」

わかってないね?俺を動かしてくれるモンがあるんだよ…

相手は近付いて来て、一気に距離を詰めてドロップキックをしてきた。

俺の大切な仲間達。
その仲間で居たかったから強くなりたかったのかも知れない…
「ナメんじゃねぇ!!」
でも今は仲間の1人として恥じないヤツになりたいと思う…

俺は当たる直前に上にジャンプして、そのまま踵下ろしをした。

相手はそれをスレスレでかわして、飛び膝蹴りをしてきた。

着地と同時にそれをかわすのは無理だった…

一か八かで俺は得意のアッパーとジャンプを混ぜて顔に渾身の一撃を入れた。


バキンッ!!!


ドドドドッ…

俺はやれる事は全てした。

それでもやっぱり相手は強かったよ…

こんなに喧嘩慣れしてる強者とやれた事を、俺は誇りに思う。
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