気合いの華
「でもよ?もう気付いてたかも知んねぇけど、田渕って、別にヤンキーとかじゃねんだよ?」

「まぁ…そんな気は薄々…」

「なのにこの前の乱闘ん時に、自分の無力さに絶望したのか、あまりのミッキーの試合に絶望したのか、完全に戦意喪失しちまったみてーだ。」

「それで、学校に来ないって訳っすか…」

「アイツ、あぁ見えて影でランニングとかして鍛えては居たんだけど、ショックだったんだろうな…」

「…俺、田渕から伝言で、牧野先輩や桜木先輩に、ごめん、って伝えてくれって…」

「…そうか。」

「俺はその時、悔しくって、それは田渕先輩の口から言って下さい。って言ったんすけど、黙り困れちゃって…」

「アイツ、もう戻って来ねぇのかな?」

「…信じたいっすけどね…でもそんな事情があったなんて、田渕先輩も苦労したんすね…」

だからきっと、みんな田渕先輩の話しは口にしなかったんだろうな…特に、仲の良かった牧野先輩や桜木先輩には。

「確かに、ミッキーが昔やった事はとんでもねぇけどさ?わかってやれなかったのは俺らの方だったのにな?」

「まぁ…それでも不登校の人達は、これからも苦しい想いをしてくのかも知んないっすね。」

「カズキくんがそれ言っちゃう?」

牧野先輩は笑いながら俺に言ってきた。

「な、なんすかっ?」

「カズキくんも、今じゃ恐れられてるよ?『ミッキー二世』だぁってね♪」

「は、はは…」

まぁアレだけ暴れちゃったからね。
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