気合いの華
ガラッ…

「後は松戸くんだけか…」

俺はそのまま、まだ来てない方へと廊下を歩いて行った。

あった…

コンコン…

ガラッ!

中に入ると、ベッドに横たわって外を向いたまま、黄昏ている松戸くんが居た。

「松戸くん、入るよ?」

「…」

松戸くんは俺に見向きもしないで黙っていた。

「タバコ買って来たから、ココ置いとくよ?」

「…」

「…ごめん、お邪魔だったかな?」

俺は空気を読んでそう言ってから、部屋を出ようとドアに手をかけた。

「待てよ?」

その時、小さな声で松戸くんが俺を呼び止めた。

「う、うん…」

俺は出ていくのを辞めて、松戸くんの方を向き直った。

「…」
「…」

それでも松戸くんは、外を向いたままだった。

「ね、ねぇ松戸く」
「ミッキーは一緒じゃねぇのか?」

「へ?いや、ミッキーは忙しいってお見舞い来れないらしくって…」

「冴島の野郎、飛んだ大ホラ吹きやがって…」

今までより、更に小さな声で松戸くんは呟いた。

「な、なに?」

「ミッキーと俺の実力がタメ?ふざけやがって!!」

窓を向いたまま、急に松戸くんは怒鳴りだした。

「タメどころか冴島よか全然ヤベーじゃねぇかよ!?」

「ま、松戸くん?落ち着こ…」

「るせぇ!!お前ぇだってそうだ!今じゃ冴島とタメじゃねぇかよ!?」

「そ、そんな事ないよ?あの時はたまたま」
「たまたまで勝てる様なヤツらじゃねんだよ!!」

「…」

凄い迫力のある松戸くんに、俺は言い返せなくなっていた。

まだ外の方を見てるけど、きっと相当怒ってるんだろうな…
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