気合いの華
「冴島も冴島だ!アイツ周りの事全然見えてやがらねぇ!!ミッキーの実力も理解出来てねぇ様な野郎なんかが本当に頭張ってていんかよ!?」

「…」

…でも確かに、松戸くんの言う事は少し考えさせられる。

あんなに周りが見えてる冴島くんが、1番近くに居たミッキーの実力を知らなかったとは到底思えない。

「でも…信頼出来るし、みんなを引っ張ってく感じだから、冴島くんが1番良いと思うよ?」

「お前は…カズキはてっぺん取る気はねぇんかよ?」

「俺は…別にないよ?」

「ふざけんな…」

「へ?」

「ざけんじゃねぇ!!今や俺よか強くなったってのに、てっぺん目指さねぇってのかよ!!」

「っ!!」

松戸くんが俺の方を振り向いて怒鳴って来たが、怒っていると言うよりも…眼が腫れる程に泣いていた。

「おい!答えろよ!?」

素直な俺の気持ちを言った方が良いんだろうな。

「…どっちが上とかは関係ないよ?俺はみんなとこれからも困難を乗り越えて行きたい。共にずっと笑っていきたい。ただそれだけかな…」

「…ふっ。」

俺が真剣に話をしてるのを聞いて、松戸くんは鼻で笑ってから天井を見上げて眼を瞑った。

そして眼を開け、俺の方を向き直った。

「いつか俺がてっぺん取ってやる。無論、カズキも倒す。」

「松戸くんまだ怪我してるじゃん?」

俺は冗談でこの話しを変えたかった。

「カズキもだろ?完治したら俺に言えよ?」

「は、はは…」

俺は苦笑いをしながら、嫌な予感しかしなかった。
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