気合いの華



その後、会話も特になく、気まずくて仕方がなかったので、部屋を出てからロビーで看護婦さんを待っていた。

「すみません、お待たせ致しました。1人1人ご説明していきますね?」

そう言って看護婦さんは、カルテみたいな物を見ながら俺にみんなの退院予定日を教えてくれた。
それを携帯に、1人1人の情報をメモしていった。

「ども。」

俺は礼を言ってから、その場を去ってそのまま足を進めた。

コンコン…

ガラッ!

「おぅ、待ってたぜカズキ?」

「聞いてきたよ?」

俺は忘れない内にと冴島くんの部屋へと来ていた。

「どした?しけた顔しやがって♪」

冴島くんはそう言いながら立ち上がって椅子を準備してくれた。

「あ、ごめんね?ありがと…」

「なんか言われたか?」

「まぁ、ちょっとね…それより寝てなよ?」

「俺は窓開けに来ただけだ。」

そう言って窓を開けてから寝っ転がってタバコに火を点けた。

「みんなの退院予定日聞いたから、メールで送っとくよ?」

「あぁ。それよりこの後どうすんだよ?」

「俺はルイの部屋に戻るよ?そこに中川さん達も待たせてるし…」

「あの女とは順調なんかよ?」

「へ?いや、順調って言うか、別に?付き合ってもないよ?」

それを聞いて冴島くんは口の辺りが緩んで、
「青いなぁ。」
と呟いてからタバコを吹かした。

ふと気が付くと、夕陽が眩しいぐらいに部屋を赤く染めている事に気付いた。

「はは…そろそろ行くね?」

「おぅ、またな?」
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