気合いの華

一時の夏

俺は部屋を出てから、だいぶ遅くなっちゃったから、少し走ってルイの部屋を目指した。

もちろんアバラが痛むから、早歩きよりは速いってぐらいだけど。

ガラッ!!

「ごめん、お待たせ?」

「しー。2人共寝ちゃったよ?」

部屋に入ると、慌てて人差し指を口元に運んで、中川さんが静かにする様に促した。

「ん?あぁ…」

ルイはそのまま寝てるし、その横では矢部さんが椅子に座りながらベッドにもたれ掛かる形で寝ていた。

「2人共、久しぶりに会ったからはしゃぎ過ぎちゃったみたい♪」

小声ではあるが、中川さんの口調は楽しそうに話す。

「1人なのに待たせちゃってごめんね?」

俺も小声で中川さんに謝った。

「別に大丈夫。それよりみんなの所行った?」

「うん、行ってきた。」

「大丈夫だった?」

「うん…やっぱりみんな、色んな想いがあったみたいだけどね?」

「仲良くやっていけそう?」

「うん、多分…仲良くはやってけると思うんだけど…」

俺は松戸くんの事が頭をよぎった。

「何かあったら相談乗るよ?」

「うん…でも大丈夫だと思う!嬉しかったのは、みんな強くなりたいって意志が強く感じられた事かな♪」

「そっかぁ。喧嘩とかになりそうになったりはしなかった?」

「う、うん。だって今はみんな怪我してるじゃん?」

「…喧嘩売られたんだ?」

「へ?」

「そんな大きい声だと、起きちゃうよ?」

そう言いながら中川さんは笑っていた。
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