気合いの華
ガチャッ…

「おはよう♪」

「あ、おはよう?」

「どしたの?考え事でもしてた?」

「いや、全然!」
してたけどさ…

「家上がりなよ?ちょっと散らかってるけど…」

「へ?入って良いの?」

それを聞いたら中川さんは喜んで頷いていた。

「お邪魔しま~す♪」

「あら、いらっしゃ…」

「あ、おはようございます。」

ドアを開けて出てきたお母さんが、俺を見てビックリしていたから、とりあえず挨拶をした。

「あら~!ずいぶん格好良い頭してるのねぇ?」

そう言いながら顔がひきつっていたのが直ぐわかったが…

「お母さん、この人がカズキくん!」

「同じクラスの川畑 一毅です。」
俺は自己紹介をしてから頭を下げた。

「へ?えぇ…家の和美がお世話になってます。」

「いえいえ、とんでもないです!頭も良いし、とてもしっかりしてますから、たまに勉強教えて貰ったりもしてたんで。」

それを聞いていた中川さんは、隣でクスッと笑ってから俺に言った。

「それ結構前の話しじゃない?」

「まぁそうだけどね。」

そんな俺達を見ていて、お母さんが取って付けた様な笑顔ではあったが、俺の方を向いてから
「カズキくん、お茶で良いかしら?」

「あ、いえ!お気遣いなく。さっき来る途中に飲み物飲んで来ちゃったんで…」

本当は、ストローが無いとアバラが痛くて飲めないのだ。
俺はそう言って、嘘をついてしまっていたから頭を下げて謝った。
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