気合いの華
「帰り道、気を付けなきゃね…」

「大丈夫だよ?だって真逆の方面じゃん?」

「そうだけどさ…」

「降りたらすぐ駅に向かおう。もしもの時は逃げてね?俺は時間稼ぐから。」

「へ?一緒に逃げるんじゃなかったの?」

「言ってなかったけど…俺走れないから。」

情けない話しだ。
今日は凄い浮かれた気分で、日常を忘れて遊園地に来るつもりだったが、来たらビビって逃げる方法を話し合って、あげくの果てには、自分が走れない事まで話していた。

俺って…情けないな。

そんな話しばかりをしていたら、結局下に着いてしまった。

「まだ反対側に居たはずだから、駅に向かおう?」

「うん。ごめんね?」

「もう、謝り過ぎ!別にカズキくんが誘ってくれたから、本当に嬉しかったんだよ?」

「うん…ん?」

俺は歩きながら中川さんの方を見た。
俯いてスタスタと歩いているから、髪の毛で表情が分からない。

「今日は…俺ん家来なよ?」

そう言うと、ビックリして俺の方を見てきた。

「良いの?」

「別に前にも来たじゃん?いつだって大丈夫だよ?」

「じゃあ…そうしよっかな♪」

「明日にでも見舞い行く?」

「うん!」

「でもみんなの退院予定日聞いたけど、まだまだ先みたいだよ?」

「どれぐらい?」

「確か1番早いのが、隼人先輩と牧野先輩の2週間だったかな。」

「遅っ!それじゃ夏休み終わる頃じゃん?」

「他のみんなは夏休み中なんて全然間に合わないみたいだよ?」
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