気合いの華
でも、そう考えると夏休み中は、遊べるのが中川さんと矢部さんぐらいな訳だ…

「そうだ!明日からも俺達、遊べるじゃん♪」

「今更ぁ?」

そう言いながら笑っていた。

「その為に私もカナも夏休みの前半は宿題とかやってたんだよ?」

「は、はは…そうだよね…」

なんか自分で言った事なのに、間抜けみたいな事を言った気がして恥ずかしくなった。

「あ、着いたよ?」

「あ、本当だ…」

無事に駅に着けて、安心した様な、少しガッカリした様な…

その後、地元へと戻ってきた俺達は、俺ん家へと来ていた。

何気ない会話で盛り上がり、2人の仲はより一層深まった気はしたが、それはあくまでも友達としてなんだって考えると、虚しい気持ちになった。

「それじゃ、また明日ね?」

「うん。」

ドアを握ったかと思ったが、振り返って
「送ってくれてありがと!今日は楽しかったよ♪」

と言ってからドアを開けて家の中へと入っていった。

「…俺もだよ。」

そう呟いてはみたが、返って来ない返事に、胸が痛んだ。

俺は帰ってから、部屋でしばらく寝っ転がりながら考え事をしていた。

中川さんとの1日を思い返していて、またさっきの様な痛みを感じた。
今日、本当はビックリする様な事があったはずなのに、それすら気にならない程に楽しかった思い出や緊張した感覚が蘇る。

もしかして…

「恋…なのか?」

俺はふと口に出してみたが、虚しくなったので、そのまま枕に顔を埋めて、しばらく寝れずに夏の蝉の声を聴いていた。
< 316 / 332 >

この作品をシェア

pagetop