気合いの華
そしたらミッキーは少し表情が和らいだ気がした。

「冴島くんの傷…アレはヤクザの抗争でたまたま巻き込まれたもんでよ…1回視力失ってんだよ…」

し、視力を!?

「じ、じゃあ今も?」

「馬鹿!今の技術はスゲーから元通りんなってんだよ!ただ…」

「ただ?」

「それのせいでボクシングのライセンス取れなくなっちまったんだよ…新聞とか乗るぐれぇ冴島くんは期待されてたボクサーだったのによ…」

よ、よくわかんないけどボクシング出来なくなったって事かな?

「で、でも冴島くんやっぱ相当強いんすね?」

ミッキーが珍しく悲しそうな顔しながら、
「そうなんだよ、あいつは強ぇ!でもその分夢だったプロボクサーになれなくなった事で、相当凹んでるみてぇで、俺も冴島くんもヤクザは恨んでんだよ…」

そ、そうだったんだ…

「ボクシング協会の事情もふざけてっよな?安全なボクシングなんてねぇってのによ…」

「今、冴島くんはどう思ってんのかな?」

「わかんねぇけど、最近は楽しそうだから、やっぱこうして喧嘩したりすんのが良んじゃねぇの?」

じゃあさっき山中との喧嘩もきっと…

「じゃ、じゃあ…」

「ん?なに?」

「じゃあ…俺ももっと強くなんないとっすね?冴島くんの友達として♪」

ミッキーはその時、さっきまでの暗い顔から一気に凄い笑顔に変わった。
ミッキーって笑うと、意外と可愛い顔してるんだな…
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