夜明け前
転校が決まってから、一週間。
手続きも編入試験も滞り無く進んで、いよいよ転校初日となりました。
「……すごい」
学園を見ながらそう呟くさくの隣で、同じように学園を見る。
「……ね」
そう、答えるしか無い。
私立藤乃宮学園、誰でも一度は聞いたことがあるのでは、と言うくらい有名な学園。
母様とそーちゃん達が通ってたってことも、驚いたけど…。
さすがは名門私立校。
…どこかのお城?
門からして、立派過ぎる。
警備員さんが4人も立ってる…。
学園の周りは豪華なお庭。
「……お昼寝したら気持ち良さそう」
「…しゅー、サボっちゃだめだからね」
「…サボらないし」
「……朔乃?珠花?遅れるぞー!」
学園に見とれてしまって、先を歩いていたそーちゃんに遅れを取っていた。
「「はーい!」」
新しい毎日は、どんな感じだろう?
不安と好奇心。
ドキドキとワクワク。
怖いけれど、踏み出したい。
そう思えるのは、支えてくれる、大切だと思える家族がいるから。
―母様、頑張るよ。