夜明け前
「わ、すっごい高い…」
車から降りれば、目の前には高く高くそびえ立つ高層マンション。
首を反らせて上を見上げても、頂上が見えない。
「首が痛くなって来た」
無事に体調も回復し、いよいよ今日から、本城の家で暮らすことになりました。
と言っても、とりあえずは奏音さんとだけ。
なのでこのマンションは、奏音さんの持ち物です。
「…お金持ちって聞いてたけど、これじゃあ本家はどうなってるんだろうね。しゅー」
さくの言う通り。
「…なんか、住む世界が違う」
ど庶民の私達には、想像が全くつかない。
「二人とも、なにボケてんの。中入るよ?」
マンションを見て呆然とする私達の後ろから、車をコンシェルジュ?とやらに預けていた奏音さんがやって来た。
「あ…、はーい」
奏音さんの後ろに続いて、共同玄関をくぐってロビーに入れば、周り一面、壁も床もキラキラと輝く大理石。
マンションに入るまでの道のりもすごかったけど。中はもっとすごい…。