わたるんといっしょ
「で、も……っ、私は、遅かれ早かれ……」
「“まだ”、いるじゃないですか」
こうして、と握られた手の温かさを知る。
「ひどいよ、渉くん」
間抜け面にさせた渉には、そうも言いたくなる。
「せっかく離れてもいいって――渉くんのためなら吹っ切れたのに……。ずっと、渉くんと一緒にいたいと思っちゃうよ……」
――私だって、友人の手を離したくない。
「いたいだけいてください。遅かれ早かれでも、最後まで好美さんの好きなことをやりましょうよ」
どこまでも付き合うと言う彼がいるから、きっと本当の別れが来ても笑顔でいられると思った。
――第一に。
「渉くんが思いっきり笑う顔、まだ見てないから、ね」
まだそんな心残りがあっては、いなくなるになれないと、好美は渉の傍に寄り添おうと――