わたるんといっしょ


「ひぃっ」


胡弓の視界で、形を作る。


狼狽が発狂。
腰を抜かす怖さは、それだけ胡弓が“ソレ”を受容してしまったからだった。


「ぎゃ、っっー、くるっ、くるくるくるうぅ!」


腰を抜かしたまま、尻を擦って下がる胡弓は、好美からしてみれば奇怪でしかなかった。


――何を。
怖がっているのか、好美には分からない。


「なにそれ、なにそれえぇっ。なかった、なかったのにいぃ!」


破顔し、涙まで見せた胡弓は頭を抱えた。


「入れるなっ、やめっ、あてしの頭、な、なきゃゆゆっ、あ゛ー!」


地面に頭を打ち付けたあたりで、渉が声をかけたが、逆効果。抜かした腰が立たないものだから、ハイハイをして逃げようとした。


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