わたるんといっしょ
「あぎっ、がががががっ!」
ハイハイが崩れて、腹這いをする胡弓。
「ごめっ、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいいぃ!」
圧倒的な力を前にしての敗残者は、ただひたすらに謝るしかなかった。
殺さないでと。
――いや。
「こわれっ、壊れるから、かき回さないでよぅっ!」
壊さないでと、胡弓は頭を掻いた。
「渉くん……」
胡弓の崩壊ぶりに恐々しつつ、渉の傍に寄り添う好美に対して、渉は複雑な顔をしていた。
「やめてください」
それは誰に向けたものだったか。
「これ以上、僕を泣かせないでくださいよ」
懇願する声。
言い終わるや否や、頭をかきむしった胡弓が、はっと我に返ったかのように立ち上がった。