わたるんといっしょ
「つぅ、呪い子が……!」
忌々しいとした言葉は捨て台詞。
逃げ去る胡弓の姿が変貌し、黒い翼を持って、飛び立った。
「カラス……」
不吉の象徴、漆黒が似合う鳥類の羽が一枚、地面に落ちた。
「死神は、人と動物の姿を兼ね備えているみたいですよ」
夜と同化してしまったカラスから目を外し、好美を見た渉だが、顔は相変わらず、何とも言えない面持ちだ。
「あの人、どうして……」
「僕に殺意を抱いたからですよ。――もっとも、成長する“これ”は、無害な周りに危害を与えないとは言い切れませんが」
『呪い子』、そう渉を称した胡弓を思い出す。
「渉くん……」
渉の今の心境を、分かってしまったのは――
「私、渉くんと一緒にいるからね」
何があっても友達だと決めた私の特権だよね?