わたるんといっしょ
尚も渉の指から離れないピクシーに嘆息を漏らしつつ。
「いつでも遊びに来てくださいよ。待っていますから。また、会いましょう」
しょうがない子供でも見るような、それでいて温かい微笑みを持って、妖精に語りかける。
ぐずる妖精も、そう言われてしまえば、頷くしかない。
「ちゅぎは、ふちゃりっきりなんだよー?」
約束だと、渉の小指に掴まる妖精が消えた。
何とも呆気ない別れだが、『また会える』となれば、感激ムードに包まれなくとも良いだろう。
「また、か……」
そう、すんなり言えてしまうのもまた、成長したと言えるのだろうか。
――頭の中、鮫歯がきししと笑ったような気がしたから、今日もまた油っこい夕食にしようかと、考えた。