わたるんといっしょ
2013年12月『出る幕でなくとも、手を出したくなるお節介』
溝の匂い。
天神学園の脅威となる怪異だが。
「ヒャッハー!ついに俺様の時代到来だぜぇ!俺様の『あっくす』よりも濃厚な匂いで、天神学園の連中を虜に――あびゃっ!」
「『溝(みぞ)の匂い』やのうて『溝(どぶ)の匂い』どす。五月蝿い口を閉じときぃ、ザコ」
天神校舎。卒業生たる冬月が再びこの校舎に訪れたのは、呼ばれたからであった。
「わたるんはんから呼び出しやなんて、今日はわたるんはんと同じ格好で来たけど、どやろ?喜んでくれるやろか?昨日は巫女服、一昨日は着物。わたるんはんはどれがええかなぁ?今日聞いて、明日の迎えはその格好にしますわぁ」
詰襟学生服に狐面。渉とはまた違った妖しさを持つ冬月は、天神卒業しようと渉に会いに来ていた。