わたるんといっしょ
「1カメさあああぁんっ!」
わたるんの手で潰れた蚊に対して、分福が絶叫をあげた。
「えぇ……」
「あ、ああっ、なんて非道なっ。い、いちちちち、いちカメさんを、潰すだなんてっ。カエルの子はカエル……、くぅ、さすがはあの極悪非道トーマさんの家族だけありますねっ!
スキュープっ、ショタ顔に騙されちゃダメ!彼は1カメさんを涼しい顔で潰すのですっ、2カメさんっ、その甘いマスクをズームアップっ!」
プーン。
「……、蚊が」
蚊メラ。
こんな小さな虫がカメラ代わりなのかと目を細めて見れば、頭部分に大きな目玉(レンズ)がついていた。
「えっと、すみません」
潰れた蚊を分福に差し出す。条件反射とは言え、大切な仲間(キャメラ)を潰してしまった罪悪感がある。どうお詫びしたものかと、わたるんは分福の視線に合うように膝を折る。