わたるんといっしょ
今もそうだ。
ここまで来た過程が思い出せず、長時間、この河川敷にいて、何のためにこんなことをしているかさえも――
「周りが、私をおいてけぼりにしているみたい」
こちらは止まっているのに、周りの時は勝手に流れていく。
――砂時計じゃなくて、ロボットか、これじゃあ。
電源の切り替えがあって、意識を取り戻す。
そんなあやふやな自我になっていることを嫌悪しつつ、好美は膝を折り曲げ、額をつけた。
「記憶が抜ける。私はきちんと行動して――歩いているはずなのに、無自覚なんだ。だから、覚えていない。ずっとそう。前より酷いかも。――生きているはずなのに、生きた心地がしない、よ……」