雨の日の。(短編)
「そういうわけで、田岡くんが好きです」


いつのまにかおれに向き直り、顔を若干赤くしながら、言った。


「は?!」

間抜けな返答をしてしまう。いやいや、今のタイミングでそりゃないだろう。
謎すぎる。


「だから、好きですって…」

「危うく聞き逃しそうだったわ!!」



あれー?と不満げな顔をする三辻。

「なかなかノスタルジーあんどシンパシーを目指したユーモラスな告白だったと自負してるんだけど」


「前ふりながい!!…その前に眠気くるわ!!」


ユーモラスな点は確かにあるが、

もーいいです、とため息をついて、おれに三辻は言った。


「ここに折り畳みですが、傘があります。…入る気はありますか?」


丁寧な手つきで折り畳みを開く。可愛らしいパステルカラーの傘。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop