Advanced Level
stage1
 大恋愛とは程遠い場所にいることは自分でもわかってた。 何もかもを捨ててもいいような燃えるような大恋愛を夢見て、、、気づけば24歳も終わろうとしている。 正直、今まで彼氏という存在が切れたことはなかったと思う。 言い寄られればなんとなく一緒にいて、嫌なところが見えたら途端に会いたくもなくなる。 そしてまた次。。。一緒にいるのに虚しい気持ちが膨らんで行ったのは本気で好きじゃなかったからだってわかってる。 ああ、また違う違うの繰り返しでいったい何を手に入れるんだろう。 彼氏がいないことが虚しい、寂しいじゃなくて満たされない気持ちが虚しくて寂しいんだ。 こんなあたしでも本気で好きな人くらいいたことがある。 なのにそういう人はいつも手の届かないところに行ってしまったり。。。 やけに湿っぽい気分になったのは今つきあっている啓太となんとなく会っていても楽しくなくなってきたなあと感じ出していたからだけじゃない。 短大を出て、女性ばかりの百貨店に就職して、勤務時間や休日がなかなかあわず友人ともめったに会わないのに将来のかけらも見えないですごす毎日に、高校卒業後オーストラリアに留学していた幼馴染の美樹が帰国したと連絡があった。そして帰国と同時に結婚するとのお知らせつきだった。 なんとおめでたい!相手は留学先で知り合ったとばかり思っていたが、あたしもよく知っている人物だったことにただ驚き衝撃を受けたのだ。 小学校時代からのあたしたちの同級生で美樹の初恋の人だったからだ。
「どうやって6年間も離れてて結婚することにまでなったの??」
美樹は美人で決して男に困るタイプではないのだ。
「運命だったんだよね。彼以外に好きになれる人は絶対いないと思ったから絶対捕まえたかっただけ」
同じ24年間生きてきてもっと前から絶対この人と思ってる人に出会っていた美樹に自分を重ねてあたしはなんだか目が覚めたのだ。 啓太と結婚なんて考えられない!!だって、、、今だけしか時間の埋めあいでしかない恋愛とも呼べないような恋愛しかしていない。 このままじゃだめだめだめ!! もうすぐ25歳。この先出会う人とは結婚を考えると最後の男は絶対に今までであった誰よりもいい男でなくっちゃ!! 
「ごめん。もう啓太とはつきあえない」
なんとなくわかってたからいいよってあっけなく終わるのもどうかと思うがもうこんな自分は嫌だから。 絶対にこの人っていう人を見つけるまであたしはもう付き合わない! 心に決めた決意はいいものの女だらけの職場に出会いもまたなし。 今はいろんな男を見てみよう。初心者マークをつけた恋愛のステージがゴールドに変わるまで。
澤井涼子、24歳の初夏。
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