Advanced Level
次の日絶対に電話ちょうだいと念押ししてきたにもかかわらず出勤3時間前に賢一に電話を入れたけど留守電だった。そして仕事場についた頃に電話が鳴った。
「なにしてんのぉ~?」
昨日と変わらない軽いしゃべり方。
「ごめん、今からもう仕事だからかけなおす」
と一方的に切ってしまった。百貨店という仕事柄休憩時間も12時出勤だと16時くらいになるからたぶん出ないだろうなあと、かけなおしたらやっぱり留守電になってた。で、その次の日の夜に電話があって
「涼子ちゃ~ん、なにしてんの~?」
と猫なで声。
「どうしたの?」
「今仕事終わって手空いたから、ご飯でもどうかな~って」
「あたし今日もう家ついてるよタイミング悪いなぁ。こないだ電話かけなおしたのに出なかったし!」
とちょっと怒ってみると
「ごめぇん。俺、仕事めっちゃバタバタしとったから」
と謝ってきた。あたしの家から賢一の家までは1時間以上かかる。あたしの勤務先から賢一の家までは20分くらいだ。「じゃあ次、早番で時間あるときまた電話するから」
と電話を切った。ちょうどコンパから1週間。仕事は遅番だったけど終電まで3時間くらい時間があったので電話したら少しでも早く行くわとタクシーで出てきてくれた。
「ご飯食べた?」って聞かれて
「まだ」と言ったらコンパの時に遅番の日は夕食は軽くしか食べないって言ったのを覚えててくれたようで、
「軽めって難しいから初食事で悪いけど突然やったから居酒屋くらいしかなくてごめんなあ」
って個室の居酒屋に連れて行ってくれた。 おつまみ程度とビールを注文し乾杯★ しょっぱなから
「今日、プリクラとかないん?」
と聞いてきた。 ほんとに写真好き(笑)出身地や兄弟の話しを聞いてこないだD大学の院生とか嘘ついてたから疑い気味になってたら
「ほんまやって、ホラ」
と免許証を見せてきた。
「そういえば俺、もうすぐ誕生日やねん、ヨロシク」
とニヤっと笑って言った。かっる~。でも可愛い(笑)
「あたしと誕生日2ヶ月違いやん、あたしのほうが近いよ、もうすぐだもん」
そう、彼氏のいない誕生日を久しぶりに過ごすことになるので女友達と旅行に行くことにしたのだった。
と返すと
「何でもっと早くにいってくれへんねん~。一緒に旅行とか計画していけたのに~」
と冗談交じりに言う。
「あたし誕生日に海外旅行に行くから」
「えっ?誰と?男と?」
「違うよ~。中学の時の同級生の女友達3人と」
普通お土産買ってきてとか言うと思うんだけど
「今度、俺と一緒に誕生日祝い旅行いこうや~」
とまたもや笑いながら言う。
「みんなでならいいけど、、、」
と返すと
「え~?何でみんなでな~ん?」
と笑う。 ほんとにどこまでが本心かワカラナイ。
「そういえばこないだ美沙ちゃんって子、あれから信之介の家に泊まって寝て帰ったみたい。でも何もしてないって言ってたけど」
と暴露。やっぱり?美沙ちゃん泊まってたのね、、、。でも進展はないみたいな感じ。
「そろそろ、あたし電車あるから帰るね」
と言うと
「俺も実はまだ仕事残ってるから行くわ」
と伝票を持ってレジに向かった。全額払おうとするので
「あっ、あたしも払うよ」
と言うと
「いいよぉ~そんなん。 涼子ちゃんに会えたから」
とおごってくれた。
「また電話ちょうだいなぁ~」
とヘラヘラしながら言う賢一に
「そんなん言って、電話でぇへんやん」
とちょっと嫌味を言う。 まあ仕事の時間帯とかあわないからなのもあるんだけど。
「だからぁ~ 仕事ででられへんから悪いけど何回もこりずにかけてきてぇや、またデートしよっ」
と言って別れた。末っ子らしいからあんな甘え口調の話し方なんだろうか? でもやっぱり少し怪しい男である それでもあたしの心は以前より少し満たされている。
24歳も終わりに近づく秋の訪れ。
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