桜並木の下で 下 ~十月から三月~




 俺は、気のない返事をしてドアを閉めた。




 頬を伝う涙。



 俺は拭おうとはしなかった。




 後悔しないのか?



 このまま、奈美と離れて俺は後悔しないのだろうか。




 だが、この方がかえっていいのかもしれない。




 喧嘩したまま別れた方が、互いのためなんだ。




 そう言い聞かせ、そこでようやく涙を拭った。



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