黄昏バラッド


こんなに早く来るんじゃなかった。こっちは寝不足なのに、なんで朝からイライラしなきゃいけないんだろ。

「おい、灰皿持ってきて」

しかもパシりみたいにされてるし。


「灰皿ならそこにありますけど」

スタッフルームは禁煙じゃないから机の上に灰皿が置いてある。まあ、みんなが使ってるから吸殻が山のようになってるけど。


「俺がこんな汚ねーの使うわけねーだろ。早く持ってこい」

あー、むかつく、むかつく。この人本当にトワイライトのメンバーだったの?

こんな人がサクと一緒にバンドをやってたなんて信じられないよ。


「どうぞっ!!」

私は強い口調で新しい灰皿を机に置いた。

なにもなければこんな人シカトするのに、一応サクと繋がってた人だからここは我慢、我慢っと。

でも尚さんはお礼も言わないし、相変わらず態度は悪いし最悪もいいところ。


「おい、新しいライター持ってきて」

その言葉に私のなにかがプチンと切れた。


「いい加減にして下さい!私はあなたのパシりじゃないし、芸能人だからって失礼すぎますよ」

久しぶりにこんなに大声を出した。だって本気で腹がたったんだもん。
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