黄昏バラッド
灰色のコンクリートの上に私の涙がポタポタと落ちる。
「ノ、ノラ?どうしたの?」
そんな私を見てサクは慌てて顔を覗きこんできた。
ごめんね。この涙はサクのせいだよ。
私の押し潰されそうな悲しみの中で、サクを見たら安心したの。すごく、すごく安心して涙が出たんだよ。
ただうつ向いて泣くだけの私にサクがそっと頭を撫でた。
「ノラは泣き虫だね。そんなにストラップが嬉しいの?」
違うよバカ。でも今はそんなサクらしい言葉に救われてる。
私は無言のまま、サクの服をギュッと掴んだ。
「……ねえ、サク」
「んー?」
私はね、すごく弱い人間なの。
口から出る言葉はいつも強がりばかりで、不安な気持ちを胸に閉じ込めたまま押し潰されている。
「……サクは私の味方でいてくれる?」
だから自分で言ったはずの言葉をもう一度確認した。
だって本当に?信じてもいいの?って何度も何度も確認したくなるから。
「なに言ってんの。当たり前でしょ」
サクはそう言って長い指先で私の涙を拭った。
信じるよ。
サクのことだけは絶対に信じる。
「家に帰ろう?ノラの好きな甘いケーキも買ったから」
私はサクの服を掴んだまま、静かに頷いた。
その私の影があまりに弱虫で、また少し泣きそうになった。