黄昏バラッド
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仕事が終わり、いつものようにサクと中央公園に向かった。公園には犬の散歩をしている人やジョギングをしてる人。サクと同じで歌う人が集まりはじめていた。
「大丈夫?寒くない?」
サクは歌う準備をしながら、自分のマフラーを私に巻こうとした。
「平気だよ。サクのほうこそ喉を使うんだから冷えないようにしなよ」
私はそう言ってマフラーを突き返す。
最近、気温は随分寒くなった。まだまだ秋の匂いはするけど、肌寒くてみんな長袖を着ていた。
「なんだかカップルばっかりだね」
人が行き交う中でカップルがやたらと目に入る。少し前まではあまり見かけなかったのに。
「最近寒くなってきたからね」
サクが当たり前のことを当たり前に言うかのように微笑む。
寒くなったらカップルが増えるの?それって人肌恋しいってことなのかな?
「――♪♪」
サクが音を合わせるように鼻唄を歌いはじめた。
目を瞑るとやっぱりサクの声は心地よくて、この瞬間を独占している私が贅沢に思える。
サクと一緒に過ごすようになって色々なことを知ったけど、やっぱりお互いに踏み込めない領域は存在してる。
「ねえサク。サクは恋をしたことがある?」