黄昏バラッド
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「んで?結局どうなったの?」
シークレットライブ前日のサンセット。
明日使う機材やマイクはもう準備できていて、店の端に置いてある。店は通常営業で、明日は色々な人が出入りするから休みにするらしい。
私は食器を洗いながら、先ほどの鉄さんの言葉に返した。
「いまだに返事はもらえてません」
あのあと私はライブの話をサクにして、サクの返答は『考える』ってひと言だけ。
速攻断れなかったから少しは期待したけど、前日になっても何も言ってこないからやっぱり行かないのかも。
「返事は?ってちゃんと聞いてみろよ」
鉄さんだけには相談したけど、逆に私が責められてるし。
「考えるって言ったし急かしたらなんか……」
だって、急かして曖昧な答えを出して欲しくない。
サクにとってこれは簡単な話ではないから。
「ここでやるって言うから来ねーんだよ。嘘ついて引っ張って来いよ」
鉄さんはもどかしそうに頭を掻いた。
サクに嘘をつくなんて絶対に嫌。それで来たって意味ないもん。