黄昏バラッド


***


「んで?結局どうなったの?」

シークレットライブ前日のサンセット。


明日使う機材やマイクはもう準備できていて、店の端に置いてある。店は通常営業で、明日は色々な人が出入りするから休みにするらしい。

私は食器を洗いながら、先ほどの鉄さんの言葉に返した。


「いまだに返事はもらえてません」

あのあと私はライブの話をサクにして、サクの返答は『考える』ってひと言だけ。

速攻断れなかったから少しは期待したけど、前日になっても何も言ってこないからやっぱり行かないのかも。


「返事は?ってちゃんと聞いてみろよ」

鉄さんだけには相談したけど、逆に私が責められてるし。


「考えるって言ったし急かしたらなんか……」


だって、急かして曖昧な答えを出して欲しくない。

サクにとってこれは簡単な話ではないから。


「ここでやるって言うから来ねーんだよ。嘘ついて引っ張って来いよ」

鉄さんはもどかしそうに頭を掻いた。

サクに嘘をつくなんて絶対に嫌。それで来たって意味ないもん。

< 135 / 270 >

この作品をシェア

pagetop