黄昏バラッド


***


シークレットライブ当日。

私が目覚めるともうサクはいなくて仕事に出掛けたようだ。


机にはいつものように置き手紙。

【仕事に行ってきます】のたった一行だけ。


結局サクの口からライブの返事を聞くことはできなかった。もしかしたら何も言わないことが〝返事〟なのかもしれないけど。

イーグルのライブは夕方から。まだまだ時間はあるけどなんだか落ち着かない。


きっとサクは行かないだろう。

そしたら私だって行く理由はないし、今日も普通にご飯を食べて後は寝るだけ。

きっとサクもそう。

仕事を終えてご飯を食べてお風呂に入って、少しギターに触れて布団で眠る。


サクは本当にそれでいいの?

こんなことを思ったってサクが決めたことだから、私には何も言う資格はない。

私はモヤモヤした気持ちを抑えるようにまたベッドに横になった。


サクが帰ってきたら普通に接しよう。

ライブの話はしないで、いつも通りの私たちの日常に戻るだけ。


……これでいいんだよね?

サクはサクとして公園で歌って、曲を作って、
また歌って。


これがサクの選んだ答えなんだよね?

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