黄昏バラッド


「あ、やっぱり俺のじゃ大きいね。一応探したんだけどそれしかなくて」

その言葉は嘘ではないらしく、部屋には少しだけ散らかった洋服があった。


「シャワーの温度大丈夫だった?あれ急に熱くなったり、冷たくなったりするから」

またサクは子どもみたいに笑う。私の警戒心を解こうとしてるのかな?

「俺もシャワー浴びてくるから適当に座ってて。冷蔵庫のものは勝手に飲んでいいから」

サクはそう言ってお風呂場に消えた。


……今なら帰れる。そんなことが頭を過ったけど被害者ぶってる自分に嫌気がした。だってついてきたのは自分なのに。

私は覚悟を決めて、とりあえず冷蔵庫を開けてみた。


冷蔵庫にはミネラルウォーターとお茶とジュースが数本あって食べ物や料理に使う調味料はひとつもない。

サクは料理をしない人らしい。

普段なにを食べて生活してるんだろ、とか考えたけど別に私には関係ないことだった。
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