黄昏バラッド
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その日の夕方。急に小雨が降りはじめて夜には本降りになっていた。
もちろん、この雨じゃ歌いにいけないから公園に行くのは中止。そのせいかサクと過ごす夜がいつもより長く感じる。
「ノラおいで。髪の毛乾かしてあげる」
私がお風呂から出るとサクは決まってこう言う。
自分でできるって言っても、結局やってくれるし。
「少し髪の毛伸びたんじゃない?」
サクは私の髪にドライヤーをあてながら言った。相変わらずサクの指先は優しくて少しくすぐったい。
今さらだけど、他の人から見れば私たちってすごく奇妙な関係だよね。
サクも私のことを大切に想ってくれてるのは伝わる。
でもそれは私と同じで恋愛感情ではない。
家族愛に似た感じだけど家族ではないからきっと違う。
例えるなら、私は本当にサクに飼われている猫みたいなそんな感じなんだと思う。
「そんなに俺のことジッと見てなに?顔になにか付いてる?」
普通に考えれば怪しい人になるんだろうけど、サクは会った時からサクだったからそんな不信感なんてすぐなくなっちゃったけどね。