黄昏バラッド
教室に戻ると、クラスのみんなが冷たい目で私を見ていた。
『どうせうちらのことバカにしてたんでしょ。
ざまーみろ』
だれが言ったのか分からないけど、そんな声が聞こえた。
バカにしてた?
そんなの一度も思ったことはないけど、先生と秘密の関係になって一度も優越感を感じなかったと聞かれれば否定はできない。
大人の人と付き合って、大人の経験をして、自分がみんなより大人になったような気分になってた。
バカだったのは私。
私の処分はとりあえず無期限の謹慎。
退学になるかはこれからの話し合いで決めるそうだ。
私は無言で教室を出て、靴箱に向かった。
今になって悔しさが込み上げてきて、気を抜くと泣いてしまいそうになる。
『……北原』
廊下の陰から私を呼ぶ声がする。
やめて、もう顔も見たくない。
『悪い北原。先生たちには退学にはしないでくれって頼んでみるから』
は?なにそれ。
私は今まで我慢していた不満が爆発寸前だった。
『謝るところはそこですか?今から本当のことを言いに行ってもいいんですよ』
すると、先生が私をどん底に突き落とす言葉を言った。
『え?まさか本気だったわけじゃないよな?ただの遊びだよ』
バカだったのは私。
恋をして、信じて、溺れて。
バカだったのは私だったね。