黄昏バラッド
家に帰るとお父さんに頬っぺたを叩かれた。私の話なんて聞かずに、学校からあった連絡のほうを信じて。
『なにを考えてるの?恥ずかしくてみっともない』
お母さんさんはそう言って泣いていた。
違うよ。
たしかに私は間違ったことをした。
いけないことをした。でも……。
『学校から処分の連絡がくるまでは大人しく家にいなさい』
お父さんの顔があまりに怖くて、私の手は震えていた。
処分?私が退学になるかならないかの処分?
『……学校は辞める』
――バチンッ!!
そう言った瞬間、また頬に痛みが走った。
『なに考えてるだお前は!自分の軽率な行動でこうなったんだろ?まずは謝りなさい』
軽率な行動?私はなにを謝ればいいの?
私って謝らなきゃいけないことをしたの?
『……麻耶、まずお父さんに謝ることが先でしょう?学校を辞めるなんてそんなこと絶対に許さないからね』
やめて、もうやめて。
私をこれ以上責めないで。
私は無言でリビングを飛び出して自分の部屋にこもった。
苦しいよ、悲しいよ、悔しいよ。
この気持ちをだれに打ち明けたらいいの?
家にいても苦しい。
学校にいても苦しい。
もうこんな場所にいたくない。
じゃないと私がダメになる。
息もできなくて、だれも信じられなくて、明日を待つ朝さえ怖い。
私は私を守るために家を出た。
なにも考えず、なにも持たず、行き先さえ決めないまま。