黄昏バラッド
「ノラはベッドを使って。俺は布団が一枚あるからそれ敷いて寝る」
サクはどこまで紳士を貫くつもりなんだろうか?ここまで来てなにもないなんて、そんな展開あるはずがない。
サクは言ったとおりクローゼットから布団を取りだして、ベッドの横に敷いた。布団を敷くと部屋には足の踏み場がなくなった。
私は手の早い男は嫌いだけど、遠回しな男も大嫌い。だから……。
「同じベッドでいいじゃん。サクはいつもここで寝てるんでしょ?」
ずっと落ち着かない雰囲気でいるなら早く終わらせた方がいい。――するとサクはゆっくりと私に近づいてきた。そして……。
「痛っ……!!」
私のおでこにサクのデコピンが飛んできた。
「なに言ってんの。電気消すから早く寝るよ」
呆然としている私を無視してサクは電気を消す。
……え?え?
私はおでこを押さえながら状況を理解できずにいた。
私だってサクとしたいわけじゃないよ。でも普通男だったらなにもしないで寝るなんてありえないでしょ?