黄昏バラッド


サクの匂い。こんな時でさえ、私を安心させてくれる大好きな匂いだ。

なにが起こっているのか理解できないまま、私はサクにおぶられて帰ることになった。

外は夕暮れ時で、私はあれから本当に寝てしまっていたようだ。


「……サクごめんね」

一番最初に出てきた言葉。


このごめんはたくさんの意味がある。

私のせいでサンセットに来なきゃいけなくなったこと。

重いのにおんぶしてくれてること。それから……。


〝例え熱があるからサンセットに迎え来てって言ってもあいつは来ないってこと。だから軽い関係だって言ったんだよ〟


こんなことを尚さんに言われたよ。

ごめんね、嬉しいよ。だってサクは来てくれた。


「なんで謝るの?風邪を引いたのは俺のせいなんだから」

サクの表情は分からないけど、いつもの優しいサクがいる。オレンジ色のコンクリートに映ってる重なる影がくすぐったい。


「ありがとうサク」

迷惑かけてるって分かっててもやっぱり嬉しい。熱で熱くなった体はサクの体温でどんどん上昇していく。

そんな中、サクがポツリと呟いた。
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