黄昏バラッド
「ねえ、……本気?」
私は暗闇の中でサクに話しかけた。サクは私に背を向けて、布団に横になっている。
「んー?なにが?」
なにがって……。私もよく分かんないけど、世の中こんなに上手くいくわけないよ。たまたま会った人に泊めてもらって寝るだけなんて。
「……サクって男の人が好きなの?」
「は……え?」
サクは私の言葉を聞いて驚いたように布団から起きあがった。私だってこんなこと聞きたくないけど考えても考えても理由が見つからないから。
「そんなわけないでしょ。いきなりどうしたの?」
暗闇で少しだけ目が慣れてきたせいかサクの顔が微かに見えるようになってきた。
「……もしかして、俺にヘンなことされるかもってずっと思ってた?」
サクの顔は少し怒ってるように見えたけど私は正直に頷いた。
「はあ……なんだよそれ」
深いため息。……出ていけって言われちゃうかな?サクは親切にしてくれただけだったのに。
私はベッドに座りこんだまま、うつ向いていた。すると頭に数分前に感じた大きな手の感触が。
「それなら俺のこと怖かったでしょ?そう思ったなら付いてきちゃダメだよ」
サクは優しく私の頭を撫でた。