黄昏バラッド
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次の日の朝。サクの仕事は休み。
サクは午後から公園に行って夕方まで歌うらしい。仕事が終わったら私も行くと約束をして家を出た。
今日バイトが休みだったら1日中サクの歌を聞けるのになあ……なんて思いながら歩いていると、珍しい人物に声をかけられた。
歩く私の横に黒いワンボックスが停まり、窓が静かに開く。
「よっ豆」
「な、尚さん……!」
助手席に乗っていた尚さんはそのまま車を降りて、勢いよくドアを閉めた。
「ここでいい。帰りはまた連絡するからよ」
運転しているのはマネージャーさんだろうか。尚さんの言葉を素直に聞き、そのまま走り去ってしまった。
「バイトだろ?俺もサンセットに行く途中だったんだよ」
これはどういう風の吹き回しだろう。尚さんが私と並んで歩くなんて。
「なんか機嫌がいいですね。いいことでもあったんですか?」
いつもの尚さんだったら絶対あのまま車で通りすぎて、「わざわざ歩きなんて可哀想なヤツ」とか去り際に皮肉でも言いそうなのに。
「来週からツアーが始まるんだよ。やっぱりバンドはでかい場所でやらねーと」
イーグルのツアーか。改めて尚さんってすごい人なんだなって実感した。