黄昏バラッド
「努力?努力したってどうにもならねーだろが。あいつが歌わなきゃ、亮がトワイライトに戻って来なきゃなにも始められねーんだよ」
鉄さんの本音。いつも大人な対応で動揺ひとつ見せないけど、これが鉄さんの本心なんだ。
鉄さんの手が弱々しく離れると、尚さんの視線がなぜか私のほうへと向いた。
「おい豆。今すぐ俺たちをあいつの所に連れていけ」
「……え……?」
尚さんの目が怖すぎて反らせない。
「お前あいつと親しい仲なんだろ?早く居場所を教えろ」
多分これは本気だ。今までサラリと流してきたけれど、これは本気で言っている。
……ドクンドクン。
そう思った瞬間に心臓が大きく鼓動し始める。
「おい、早くしろ。俺は今最高にムカついてんだよ。今日は無理やりでも聞き出すぞ」
「……ちょ、ちょっと待って下さい。そんな急に……。サクだって色々考えてます。だから……」
やっとサクは過去と向き合う決意をしたばかりなのに。
「だからまだ待てって?俺たちは5年も待った。なにも言わず5年もな」
私の前に立つ尚さんはすごい威圧感で思わず唾を飲み込んだ。