黄昏バラッド


公園に着くといつものように歌ってる人たちがたくさんいた。その敷地内を尚さんは険しい顔でどんどん進んでいく。


「……尚さんはサクに会ってどうするつもりなんでしょうか?」

その後ろを歩く鉄さんに私は不安をぶつけた。
サクの居場所を教えたのは自分なのに公園に着いてから動悸が止まらない。


「さあな。なんせ尚と亮が会うのは5年ぶりだから」

……ということは、3人が同じ場所に揃うのも5年ぶり。

サクは一体どんな顔をするだろう。居場所を教えた私を軽蔑する?


「……不本意ですよね。サクにだってタイミングがあるのに」

私がそう言うと、鉄さんは慰めるように私の頭を軽く撫でた。

「いや、俺は麻耶ちゃんに感謝してるよ。たぶん本意で再会するのは俺たちじゃ難しいから」


それって誰かに背中を押してもらう必要があったってこと?

尚さんの性格を考えれば、笑って再会するのはムリだと思う。だけど今日の出来事を機に3人で笑える日が来ますように。

私はそう心の中で祈るしかなかった。
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