黄昏バラッド
「なにも言わずにいなくなりやがって。どれだけ探したか分かるか?」
「………」
「あのあと、デビューが決まってたプロダクションには頭下げに行って。デビューを待ちに待ったトワイライトのファンには何回も事情を説明した」
「………」
「てめえの尻拭いを俺と鉄は必死にやったんだぞ」
サクは尚さんの話をうつ向いて聞くだけで、目すら合わせようとしない。きっと罪悪感でいっぱいなんだと思う。
「おい、黙ってないで俺たちに言うことがあるだろ?」
そう尚さんが諭(さと)すと、やっとサクが口を開いた。
「……ごめん」
――ガシッ!!
その瞬間、尚さんの手がサクへと伸びた。
「は?5年分の謝罪がそれか?てめえはそんなひと言が今まで言えずに雲隠れしてたのかよ」
サクの首元が尚さんによって持ち上げられる。
私はとっさに止めようとしたけど鉄さんに制止されてしまった。
「俺はな、お前に言いたいことが山ほどある。でも今はそれを我慢してひとつだけ聞く」
「………」
「トワイライトはどうするつもりだ?」