黄昏バラッド


――♪♪……♪……。
……♪……♪♪

私の耳に心地よいサクのギター音が聞こえてきた。

それに酔いしれる暇もなく、すぐに激しい爆音が体中をかけめぐる。


♪♪♪……♪♪!
……♪♪♪ッ!

♪♪♪……♪♪ッ!!

今まで聞いたことのないサクのアップテンポな指さばき。それに乗せるように鉄さんのベースと尚さんのドラムが続く。


………なにこれ、すごい。

これがサクの音楽?

まるで稲妻が落ちたみたいに衝撃が走る。言葉を失うとはまさにこのこと。


「……♪♪!!」

マイクから聞こえるサクの歌声も優しいだけじゃなくて、とても力強い。

コーラスで鉄さんとサクの声がハモると、ふたりは目を合わせ呼吸も同じになった。


目では追えないくらい速い尚さんのドラム。
低い重低音が響く鉄さんのベース。
魔法のようにギターを奏でて歌うサク。

なぜみんながトワイライトを忘れられないのか。

なぜそんなにも音楽に夢中になるとかようやく分かった。

トワイライトは表の世界で沢山の人に聴いてもらう価値がある。私は強くそう思った。
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