黄昏バラッド


肩を並べて歩く私たちの影ない。あるのは頭上に光る綺麗な星だけ。


「すごく感動した。ステージで歌うサクは別人みたいだったよ」

そんなサクが私の隣にいることが夢のように感じる。


「ありがとう。尚が言うとおりまだまだだったけどね」

それならまだまだじゃないサクはどんな音を出すの?想像しただけで鳥肌が立った。

そんなサクの横顔を見ながら、私はポツリと呟いた。


「サクはやっぱり天才だよ。それでトワイライトはもっと大勢の人に聞いてもらわなきゃダメだよ」

私が独り占めできたことは嬉しいけど、もっと必要としている人がいる。そのぐらいサクたちが弾く音楽は影響力のあるメロディーだった。


「そのためには努力しないと。音楽の世界は甘くないからね」

サクの顔は立派なバンドマンで、やっぱり歌わずにはいられない人。

私はとっさにサクの洋服を掴んで足を止めた。
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