黄昏バラッド
「もしCDとか発売したら絶対買いますから。むしろ嬉しすぎて色んな人に配りますよ」
そんな夢を膨らませながら、私は乱れていた椅子を直した。
「麻耶ちゃんには本当に感謝だな。麻耶ちゃんがいなかったらトワイライトの復活はなかったから」
本当に?そう言ってくれるなら私がいた意味もあったってことだよね。
「ありがとう。麻耶ちゃん」
気がつくと鉄さんが私に頭を下げていた。
「や、止めて下さい!私なんかにそんな……」
感謝なんて私のほうが数えきれないぐらいしてる。だって……。
「私も鉄さんがいなかったら仕事も見つからなかったし、素性の分からない私を雇ってくれたこと。本当に感謝しかないです」
サンセットで働けたからこそ沢山のことを学んだし成長もできた。
――〝じゃあ、ノラちゃんうちの店で働く?〟
この言葉がなかったら今の私はどこにもいない。
「なんか別れの挨拶みたいになっちゃったな」
鉄さんが頭を掻きながら笑うと、今度は私から頭を下げた。
「……鉄さん。私もうサンセットで働けません。だから自分勝手ですけど辞めさせて下さい」