黄昏バラッド
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「――麻耶?もう家を出る時間でしょ?」
慌ただしい朝。私はお母さんが用意してくれたパンを口に頬張った。
「そんなに急ぐならもっと早く目覚ましかけときなさい」
お母さんの小言も前よりはうるさくなくて、私は聞き流すすべを身につけていた。
「今日も夜遅いから先にご飯食べちゃっていいからね」
私はそう言い残して家を出た。
あれから2年。私の年齢は19歳になっていた。
あの日、数か月振りに帰った我が家で、すぐにお父さんに頬を叩かれた。だけど同時に泣きつかれて、お母さんも無事でよかったと涙した。
私は高校で起きたことを全て両親に打ち明けて、家出をした理由もきちんと話した。
怒ったお父さんは私と付き合っていた横井先生に抗議すると言ったけど、それは止めるように頼んだ。
過ぎてしまったことを掘り起こしたくない。軽率な行動だったのは私も同じだから。
学校は変わらずに同じ高校に通う気でいたけど、私の精神面を考えて別の高校へと編入することになった。
そこでの学校生活は平和で友達も沢山できた。
そこで衣類の専門学校に行く友達に影響され、高校卒業後はアパレル会社へ就職。そして今に至る。